通常、楽器は減価償却でき、耐用年数は5年となっていますが、どんなに高額な楽器であっても同じなわけではありません。

皆さん、こんにちは。
業務改善を行うIT・業務コンサルタント、高橋です。
冒頭の書き出しで既におわかりでしょう。
先日、カレーチェーン『CoCo壱番屋』の創業者が取締役を務める資産管理会社が名古屋国税局より『申告漏れ』を指摘されました。
今日はそれに関連する話しです。
高額な楽器は非減価償却資産となります
正直なところ、今回の件は税理士の大きなミステイクで、顧問先であった資産管理会社は気の毒であったと感じてしまいます。
そもそも、絵画や彫刻等の美術品、工芸品で取得価格が1点100万円以上のものは原則的に『非減価償却資産』で、『時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの』は取得価格が100万円以上であっても減価償却資産として取り扱うこととされています。
(以前はこれよりももっと縛りが厳しいものでした。)
楽器の場合もこれと同じで、美術品等のように明確な規定はなかったかもしれませんが、『アントニオ・ストラディバリ』が製作したバイオリンの名器『ストラディバリウス』は普通は手の届かない数億円~15億円くらいもする超高額品で、『時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの』と判断されるのは明らかです。
これ、税理士でなかったとしても事実認定の問題として『非減価償却資産』となることは分かりますし、少なくとも疑問に思うことはできます。
であれば国税に確認をすることくらいはできたのではないでしょうか。
しかし、『ココイチ』の創業者は以下のようにコメントしていました。
地域の税理士さんに全てお任せしていました。
税理士さんが『楽器は減価償却できるんです!』と言われるので、そうなんだと思って受け流していた。
大いに反省している。
と。。。
申告漏れを指摘された法人税約20億円はもともと減価償却費を計上せずに処理していれば納税しなければいけなかったわけですから良いとしても、過少申告加算税を含む追徴課税約5億円は税理士がまともであれば支払わなくて済んだものです。
ここで少し考えてみてください。
このようなことが起きた場合、基本的には顧問先である企業が損をするだけです。
何が言いたいか?
全ては企業側で最終判断をしなければ問題が起きる可能性があるということです。
つまり、企業側も相応の知識を持ち合わせていなければいけないですし、少しでも疑問に思ったものは確認を行う必要性があるということです。
※ すべての税理士がこのようなミステイクを犯すものと決めつけているわけではありません。少なくとも、私が存じ上げている方はそうではありません。誤解のないように。