会社法人などにとって黒字続きのところは縁のない話しではありますが、中小・零細企業にとって時には赤字を繰り返してしまうこともあります。

そんな法人は、赤字、つまり税法上の欠損金を繰り越すことが認められており、一部それに救われる部分もあったりします。

会計士による説明

皆さん、こんにちは。

業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。

法人税法上、欠損金(赤字)が発生した場合はある一定期間繰り越しをすることが認められています。

それは、課税所得(黒字)が発生した場合に相殺できる、つまり課税所得から控除して取り扱うことができるのです。

青色申告での欠損金の繰越控除

大前提として、通常の欠損金の繰越控除が認められるのは青色申告書を提出した場合において認められることが前提となりますが、この欠損金の繰越控除の期間がさらに延長されることになります。

平成13年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については5年、

平成13年4月1日以後に開始した事業年度から平成20年4月1日前に終了した事業年度において生じた欠損金額については7年、

平成20年4月1日以後に終了した事業年度から平成29年4月1日前に開始する事業年度において生じた欠損金額については9年、

平成29年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年です。

そうです。平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年となるのです。

繰越欠損金の要件

前述にお書きした青色申告法人であること以外にも要件があります。

1.青色申告の確定申告書を提出していること

2.連続して確定申告書を提出していること

3.期限内の繰越欠損金であること

4.帳簿書類等の保存をしていること

これらが要件となります。

繰越欠損金を使うメリット

冒頭でお書きした通り、繰越欠損金(赤字の繰越分)は課税所得(黒字)と相殺できることから本来納める法人税を軽減することができます。

例えば、繰越欠損金を使わない場合と使う場合では以下のような差が出ます。

(1年目)

税引き前当期純利益:▲100万/繰越欠損金:0/課税所得:0/法人税:0

<繰越欠損金を使わない>

(2年目)

税引き前当期純利益:200万/繰越欠損金:0/課税所得:200万/法人税:70万(実効税率35%)

<繰越欠損金を使う>

(2年目)

税引き前当期純利益:200万/繰越欠損金:100万/課税所得:100万/法人税:35万(実効税率35%)

上記のように、繰越欠損金を使わない場合においては1年目の赤字分を考慮しないことから全額課税される計算になりますので法人税の納付税額はそのまま70万円となりますが、繰越欠損金を使う場合においては1年目の赤字分100万円を控除した100万円に対して課税される計算になりますので、法人税の納付税額が70万円から35万円を引いた35万円に抑えることができるわけです。

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この記事を書いた人

  • 業務コンサルタント高橋晋吾
  • 1968年生 愛知県名古屋市出身 会計・給与・販売購買在庫・税金系などの業務システムを製造・販売する某上場企業の出身で、会計・IT・WEBを中心とした業務改善などを行う業務コンサルタント
  • 中小企業庁『ミラサポ』登録専門家/あいち産業振興機構登録専門家/名古屋産業振興公社登録専門家
  • (Publisher:TRILOGYFORCE.COM)

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