IT業者A社は、ユーザーであるB社から口頭ベースにて『御社にお願いすることにします』と言われ、契約書を交わす前に作業に着手し始めました。

しかし、その後A社はユーザーであるB社より作業を中止してほしい旨の連絡を受けたのです。

契約

皆さん、こんにちは。

業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。

ユーザーと契約書を正式に交わす前に作業に着手してしまうというのはよくある話しではあるのですが、それがとんでもない結末を招くことがあります。

契約書レスで行った作業

契約の締結が遅れても納期は厳守させられるというのはざらにある話しです。

今回の例もそうです。

納期を守るためには1日も早く作業に着手しなければ間に合わない。

となると、契約書は後でもらえるから先に作業に着手するしかない。

となってしまうわけです。

しかし、これにはリスクが伴います。

契約の成立要件としては必ずしも書面の取り交わしが必要なわけではありませんが、金額が大きい個別案件に関しては書面によって契約が成立すると考えるのが一般的です。

この場合、既に作業した分の代金は請求できないのでしょうか?

契約書レス時の救済

過去の判例などを見ると、今回のような事例において損害賠償請求が認められた判例もあります。

しかし、これはあくまでも相手方に過失があった場合であって、それが認められるケースはそれほど多くないと思われます。

従って、契約書レスで作業に着手するというのはリスクが伴うと考えた方が良いでしょう。

契約書レスでできること

もし、どうしても契約書レスで納期を厳守するために作業に着手しなければいけない理由があったとするならば、何でもいいので仮の書面をもらっておくことです。

その内容として、作業着手後の費用が精算される旨の記載をしておくことで少しはリスクヘッジになる可能性があります。

皆さん、十分気をつけましょう!

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この記事を書いた人

  • 業務コンサルタント高橋晋吾
  • 1968年生 愛知県名古屋市出身 会計・給与・販売購買在庫・税金系などの業務システムを製造・販売する某上場企業の出身で、会計・IT・WEBを中心とした業務改善などを行う業務コンサルタント
  • 中小企業庁『ミラサポ』登録専門家/あいち産業振興機構登録専門家/名古屋産業振興公社登録専門家
  • (Publisher:TRILOGYFORCE.COM)

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