国外の事業者が国境を越えて行う電子商取引(電子書籍・音楽・広告配信など)に
消費税を課税する法律が平成27年10月1日から施行されました。
皆さん、こんにちは。
業務コンサルタントの高橋です。
冒頭にあります国外事業者の消費税課税については、事業者向けの取引と、消費者
向けの取引によって課税方式が異なります。
消費者向けの取引に係るものは海外の事業者が申告納税をすることになっていますが、
事業者向けの取引に係るものは国内事業者が申告・納税を行う、『リバースチャージ方式』
となっています。
海外事業者に代わって納税義務が発生するということです。
これ、結構わかりにくい話しですので、仕訳にしてお話ししたいと思います。
アドワーズ広告(グーグル社がやっている広告)を1万円分出したとします。
その場合、従来の消費税法では
(広告宣伝費)10,000円 / (現預金)10,000円
という仕訳だけでした。
(不課税取引でしたので消費税仕訳はありません。)
しかし、平成27年10月1日以降は下記のようになります。
(広告宣伝費)10,000円 / (現預金)10,000円
(仮払消費税等)800円 / (仮受消費税等)800円
課税仕入となる分として仮払消費税等、海外事業者の課税売上となる分を代わって申告
する分として仮受消費税等、両建ての消費税仕訳が発生します。
この段階で言えるのは、課税売上割合が95%以上の事業者であれば消費税を全額控除
できますので、相殺されてチャラということです。
しかし、課税売上割合が95%未満の場合はどうなるのか?
課税売上割合が95%未満の場合、課税売上割合に応じた仕入税額控除になりますので、
例えば課税売上割合が90%だとすると、仮払消費税等の800円の内、720円が控除でき、
80円は控除できないことになります。
そうすると、以下のように消費税精算を行うことになります。
(仮受消費税等)800円 / (仮払消費税等)800円
(雑損失)80円 / (未払消費税等)80円
これ、リバースチャージ方式による申告対象としても課税売上割合が95%未満の事業者
が対象とされています。
また、簡易課税の適用事業者は免除扱いになりますので申告・納税の必要はありません。
原則課税の適用事業者で、課税売上割合が95%未満の事業者のみの話しになります。
(将来的には変更があるかもしれませんが。)
ここから考えると、中小企業の多くは影響しないものと思われますが、一応認識して
おいても損はないでしょう。
最後に、途中で疑問に思われた方がおられるかもしれませんので記載しておきます。
海外事業者が本来預る消費税は資金的にどこから捻出されるのか?
これ、従来は不課税取引だったわけですから、今後も海外事業者に支払う資金としては
消費税無しの本体価格のみを支払うイメージになります。
そして、今回から出てきた海外事業者に代わって申告・納税する分は、海外事業者
ではなく、国と地方に支払う(納める)イメージになります。