平成35年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として『適格請求書等保存方式(インボイス制度)』が導入されます。
皆さん、こんにちは。
業務改善を行うIT・業務コンサルタント、高橋です。
来年の10月から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除方式、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されますが、これは多くの事業者が請求書への記載事項の変更を求められる可能性があります。
適格請求書等保存方式への対応は?
まず、軽減税率(8%)の対象品目を扱うか否かによって記載方法が異なります。
軽減税率の対象となるのは、酒類を除く、食品表示法に規定する飲食料品、週2回以上発行される、定期購読契約に基づく新聞になります。
(外食やケータリング等は対象外)
これらの場合、以下の記載事項が必要になります。
1.適格請求書発行事業者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
5.適格請求書発行事業者の登録番号
6.軽減税率対象品目を明確にするマーキングなど
7.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
8.税率ごとに区分して合計した消費税等
5から8が新たに追加で記載要件となるものです。
これに対して飲食料品や新聞以外のみの場合、6から8の部分は要件とはならないため、登録番号を除き、従来の請求書記載要件と同じということになります。
免税事業者はほぼ課税事業者になる可能性
もう1つ、免税事業者にとっては大きな問題があります。
前述の適格請求書発行事業者の登録番号というのは、平たく言えば『課税事業者登録番号』ということになり、免税事業者のままの場合は適格請求書の発行はできないことになります。
何が問題か?
請求書を受け取る受領者側の『仕入税額控除の要件』として適格請求書等の保存が要件の1つとなるため、免税事業者からの請求書は仕入税額控除できなくなります。
つまり、課税事業者にとってみれば仕入税額控除の対象が多い方が良いわけですから、適格請求書の発行を求められる可能性が非常に高いということで、免税事業者は課税事業者登録を強いられる可能性が非常に高いということになります。
ただし、多少の緩和策は用意されており、平成35年10月1日から平成38年9月30日までは仕入税額相当額の80%、平成38年10月1日から平成41年9月30日までは仕入税額相当額の50%と、一定割合を控除できる経過措置は設けられています。
しかし、これも受領者側にとってはマイナスの材料でしかありませんので、経過措置期間は従来のままでも許容してくれるかどうかは厳しいところと言えます。