あるメディア記事によると、厚生労働省の厚生年金や健康保険への未加入企業に対する動きが活発化しています。以前にもこういった動きのお話しは書かせていただきましたが、マイナンバー制度がスタートしていることもあり、今後はさらに動きが加速します。
皆さん、こんにちは。
業務コンサルタントの高橋です。
現在、厚生年金や健康保険への未加入が疑われる企業は79万社にものぼるようで、それらは、2017年度末までに全て特定されると報じられています。
社会保険への加入義務
厚生年金や健康保険は、法人、もしくは従業員5人以上の個人事業主の場合は加入の義務があります。しかし、保険料は労使で折半ということもあり、事業者の経費負担が増えるなどの理由から未加入のままにしている小規模事業者は非常に多く存在します。
マイナンバーが動きを加速させる
今まで、未加入企業の特定作業は職員の手作業によるものが多く、作業効率が非常に遅かったのですが、今後は企業向けのマイナンバーを活用するため、動きが加速するということになります。
企業は従業員に代わって所得税を納めます。その際の法人番号が国税庁から日本年金機構へ渡り、保険料を支払う企業の法人番号と照合し、未加入企業があぶり出されていきます。これにより、職員の手間が大幅に削減されることから未加入企業の特定が早くなるということです。
加入要請を無視してはいけない
未加入企業が特定された後、年金機構はまずは文書や電話にて加入を要請します。それでも加入してもらえない場合、年金機構は企業を訪問して加入を要請します。しかし、これらの要請に応じてもらえない場合、年金機構は企業への立ち入り検査に入り、強制的に加入手続きをすることになります。
ここで問題になるのは、立ち入り検査で強制加入になってしまった場合、2年間遡及して社会保険料を納付しなければいけなくなるということが待ち受けています。これは小規模事業者にとっては結構な金額になってしまいます。従って、年金機構から要請があった場合、無視せずに素直に加入することの方が良いのです。
参考記事:社会保険の届出を促す文書対応
保険料を支払わないと差し押さえ
加入した後も保険料を支払わなかった場合、最悪は資産の差し押さえもあり得ます。ただし、保険料を滞納すると、まずは督促のアナウンスがきます。しかし、それは無視しては絶対にいけません。それを無視すると最悪のケースが待っています。それは資産の差し押さえです。これは、国税徴収法に準ずるものとされていますので、税金の滞納と同じ扱いになり、突然事業所にやってきます。そして、その場で支払いができなければ資産を差し押さえられてしまうということになります。また、これは裁判所の令状なく行うことができますので、令状がないことを訴えてもダメです。これは本当に最悪のケースですが、そうならないよう、保険料を滞納してしまったとしても、無視せず素直に対応しなければいけないということです。
まとめ
社会保険の加入要請には素直に応じ、保険料を滞納してしまっても、督促にはちゃんと対応していくことは最低限しなければいけません。