明治時代に制定された民法、民法改正で120年ぶりに大きく変わります。
この改正により、ビジネス上影響があると思われるものとは?
こんにちは。
業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。
2018年か2019年頃までには施行されるであろう改正民法の中でも、システム開発契約に大きく影響すると思われるものがあります。
変わる瑕疵担保責任
システム開発の請負契約には当然瑕疵担保責任が存在しますが、この瑕疵担保責任が変わります。
○ 瑕疵担保責任という文言は条文から削除され、契約不適合(未完成や重大な不具合の存在)という文言に変わる
この契約不適合の成果物において修正がなされない場合、不具合の度合いに応じて支払代金を減額請求できるというものです。
これは、不具合修正を他社に依頼したり社内で修正した場合、その費用分を減額可能にするというものになります。
○ 損害請求の起算点は『不具合が有る事実を知った時から1年間』となる
現行法では、成果物を引渡し後1年以内に発見した不具合に対する無償での修正や修正費用の請求でした。
しかし、改正後は引渡し後最大5年以内に不具合が有る事実をしったときから1年以内のものであれば同様の請求が可能となります。
ということは、システムが納品されてから3年後に不具合があることを知り、その時点で修正依頼をしても無償で修正を行ってくれるよう請求しても良い話しになります。
請負契約書の見直し
法的な原則としては前述のようになりますが、個別契約において民法上で定められたものと異なることはNGではありません。
つまり、社会通念上著しく逸脱したような契約でなければ契約書の内容が優先されるということになります。
ということは、仮に個別契約において『引渡しから2年以内』として契約を締結していた場合、民法上の5年以内よりも2年以内が優先されるということになります。
従って、システム開発業者としては請負契約書の見直しを行うことも重要な課題となります。
しかし、仮に個別契約書上の『契約不適合』に関する事項を2年以内とした場合、従来よりは延長されることには違いがないため、結果的にはコストアップにつながってしまいます。
(システム開発業者も従来よりも長く保証をしなければいけないとなると金額が上がってしまうのは当然です。)
これは委託する側としても歓迎される話しではありませんが、法的なところを踏まえ、契約書の見直しを行う必要があるでしょう。