(請負人の担保責任の制限)一部抜粋
第636条:(前略)注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

トラブル

皆さん、こんにちは。

業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。

冒頭でお書きした条文は、民法改正時における改正案の抜粋ですが、民法改正後のシステム開発契約の記事でも書かせていただいたとおり、この先の民法改正時にはいろいろ注意が必要です。

ユーザーの要件間違いも開発業者責任

システム開発に携わっている方の中で、今まではユーザーに言われたとおりに製作していた方もおられるかと思います。

しかし、それは通用しなくなります。

システム開発業者はシステムを製作する上での専門家です。

もしユーザーが契約の目的と異なる要件を提示したならば、それに対して指摘を行い軌道修正を図らなければならず、ユーザーが中途半端にしか要件を提示しなかった場合においても、正確に目的を達成できない旨を指摘し、不足している部分を引き出さなければいけません。

これらを行わなかった場合、システム開発業者は責任を問われる可能性があります。

業務知識と常識的な判断

これらを踏まえて考えると、正確な業務知識を持ち合わせないで業務システムを開発することは非常に危険です。

(これは今でもそうですが。)

また、システムを稼働させるにあたっても常識的な判断が求められることになります。

例えば、ある管理帳票を出力する際において残高マスターなどの更新処理が行われる場合がありますが、これに半日近くもかかっているとなると常識的には少々問題があると感じられます。

システム的に得意先マスターなどをすべて見ていくことをしなければならないため、マスターの件数によっては致し方ないということもありますが、今後はそれがNGとなる可能性があります。

理由として、システムを導入するということは従来のアナログな作業時間を短縮したいという意図も当然あります。

しかし、それが多額のコストをかけても時間的にあまり短縮されないようでは問題です。

また、現行法においてもこれに似たような事案において裁判所は開発業者側の責任とした判例もあります。

もちろん、開発業者は顧客との間において時間がかかることは合意していたのですが、裁判所はそれをしりぞけました。

時間短縮が図れないものに多額のコストを投じて開発することは考え難いという見解だったようです。

これらから言えることは、ユーザーの言われるとおりにシステムを製作してしまうと命とりになりかねないケースがあるということです。

金銭を投じても効果のないことなども含め、的確なアドバイスや指摘を行い、それらすべてを記録に残しながらプロジェクトを進めていかなければなりません。

それには業務知識を含め常識的な判断など、ユーザーが目的としているものを的確にくみ取り、合意事項であっても常識と照らし合わせて検証することなどをしていかなければいけないでしょう。

結果的にはそれが自社を防衛する手段となります。

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この記事を書いた人

  • 業務コンサルタント高橋晋吾
  • 1968年生 愛知県名古屋市出身 会計・給与・販売購買在庫・税金系などの業務システムを製造・販売する某上場企業の出身で、会計・IT・WEBを中心とした業務改善などを行う業務コンサルタント
  • 中小企業庁『ミラサポ』登録専門家/あいち産業振興機構登録専門家/名古屋産業振興公社登録専門家
  • (Publisher:TRILOGYFORCE.COM)

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