業務上、法的に問題があるか否かが微妙なライン、つまり、グレーゾーンというものが多く存在しています。
そこで、ある事例をもとにグレーゾーン解消制度とは何かをお話しします。

皆さん、こんにちは。
業務コンサルタントの高橋です。
ある事業者が、医師法上の『医業』に該当するか否かを行政に照会をかけた事例です。
医師以外の者が、鍼灸治療院、接骨院、エステサロン等において、患者・顧客に対し、非侵襲式家庭向け鍼用器具を施術する行為は、医師法上の『医業』に該当するか?
(※ここにある『非侵襲』というのは、『生体を傷つけずに』ということです。)
これに対して経済産業省は下記のように回答しました。
関係省庁で検討を行った結果、今般照会のあったサービスにおいて、医師でない者が医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第7項に定める一般医療機器(非侵襲式家庭向け鍼用器具を含む。)に分類されるものを、利用者に対して貼付する行為は、医師法に規定する『医業』に該当するものではない無い旨の回答を行いました。
今回の整理により、当該業界にて非侵襲式家庭向け鍼用器具を活用した新たな施術サービスを拡げ、国民の健康向上に資するとともに、市場全体の活性化にも寄与することが見込まれます。
つまり、体を傷つけずに貼り付けるだけの行為は『医業』に該当しないということです。
これは単なる一例ですが、医療系分野に関わらず、他の分野においても事業に対する規制の適用有無を確認することができます。
(※規制所管は厚生労働省ですが、事業所管は経済産業省になります。)
グレーゾーン解消制度の概要
産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度です。
事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答するものです。
このように、照会をかけることで規制の対象にはならないケースもあるかもしれません。
また、経済産業省のホームページでは、実際の申請案件と回答が公表されていますので、そちらも参考にしてみてください。