今朝、プレジデント社からのメールマガジン『PRESIDENT NEWS』を見ていて興味深い記事がありました。

それは、『社保適用拡大で、パート妻は「年収・年金増」を目指せ』という記事です。

てんびん

皆さん、こんにちは。

業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。

冒頭にお書きした記事で興味深かったのは、その記事にこのようなことが書かれていたからです。

この社会保険料の負担増を避けたい企業と主婦の利害が一致し、「労働時間を短縮するパートが続出するのではないか」と見る向きも少なくない。しかし、「そんな働き方はナンセンス」というのが、賢人たちの一致した意見だ。経済ジャーナリストの荻原博子さんは次のように助言する。

「106万円の壁にとらわれ、月収10万円を8万円に下げることはありません。むしろ稼げる人は、できるだけ稼いだほうがいいのです。それに、手取りが減るといっても、その分は社会保険による手厚い保護を受けられて、自分のために役立つはずです」

これ、果たして本当にそうなのでしょうか?

モデルケースを基に試算してみる

今回の社会保険適用拡大で、厚生労働省においても社会保険に加入するメリットをうたっています。

それは、基礎年金に加えて報酬比例の年金(厚生年金)が終身でもらえるということです。

例えば、月収88,000円の人の場合、月々の厚生年金保険料の自己負担分は8,000円(年額96,000円)で、40年間加入した場合では毎月19,000円(年額228,000円)の年金が受給でき、1年間だけしか加入していない場合でも毎月500円(年額6,000円)の年金が終身で受給できるというものです。

※厚生労働省のモデルケースを参照してみてください⇒保険料と年金額のモデルケース

これを見て皆さんはどのように思われましたか?

例えば25歳で結婚をし、夫の給料をメインに自身はパート勤務についたとします。

そこで毎月給料から8,000円が引かれ続けて40年が経過したとします。

この場合、自己負担分のみで計算しても40年間で3,840,000円を厚生年金保険料として納めていることになります。

65歳になった時に毎月19,000円(年額228,000円)の報酬比例分が上乗せされるとしても、約17年をかけて納めた分がちょうど戻ってくる計算になります。

そうです。

40年間もパート勤務をして分岐点が来るのは82歳以降という計算になるのです。

しかし、これは少々甘い計算のように思えます。

夫の扶養におさまっている場合、その妻は健康保険料を納めることはありません。

しかし、社会保険適用となった場合にはこのモデルケースで4,386円~5,082円くらいの健康保険料も給料から引かれて納めることになりますので、単純にアベレージ額を4,700円(年額56,400円)として計算し、それを40年間納めた場合には2,256,000円を納める計算になり、厚生年金保険料と合算すると6,096,000円もの社会保険料を納めることになります。

つまり、合算した金額で計算した場合においては分岐点まで10年余分にかかるということです。

現在の日本女性の平均寿命は86歳~87歳くらいですので、そこから考えると82歳からさらに10年余分に経過した92歳が分岐点となると少々考えものです。

これらは、他の加入期間で計算しても分岐点までは25年~26年程度かかります。

記事の続きから

記事の続きに、このようなことが書かれています。

ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが、主婦の社会保険加入の具体的なメリットについて説明する。

「将来、国民年金だけでなく、自分の厚生年金も受け取れるようになります。また、健康保険に入っていれば、病気やケガで仕事を休んだときに傷病手当金、失業したときには失業手当をもらいながら、求職活動ができます」

畠中さんの試算によれば、主婦が年収300万円で、40歳から60歳まで企業で働いた(それまでは厚生年金未加入)とすると、勤務期間中に支払う厚生年金保険料は合計約560万円。それに対して、主婦が女性の平均寿命である87歳まで生きたとすると、65歳から受け取る厚生年金は、合計約740万円になる。つまり、差し引き約180万円の得になるわけだ。

これについては、まず失業した際の失業手当は雇用保険の範疇になりますので、今回の短時間労働者の社会保険適用拡大(健康保険・厚生年金)とは別問題になります。

たとえ月額88,000円未満のパート収入であったとしても、週20時間以上の勤務であれば雇用保険の対象になりますので既に給料から引かれている方も多いことでしょう。

もう1つの年収300万円の試算に関してはそもそもが社会保険の対象ですから、今回の社会保険適用拡大に関してどう判断するかとは別の問題になります。

このように、記事に惑わされることなく、まずはご自身(ご夫婦)がどうしたいのかと、その場合にはどうなるのかの試算を行ってみることが一番です。

これらの話しは事業主にとっても非常に大きな問題ですので、スタッフとともに最良の方向性が見つかることを願います。

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    この記事を書いた人

    • 業務コンサルタント高橋進伍
    • 1968年生 愛知県名古屋市出身 会計・給与・販売購買在庫・税金系などの業務システムを製造・販売する某上場企業の出身で、会計・IT・WEBを中心とした業務改善などを行う業務コンサルタント
    • 中小企業庁『ミラサポ』登録専門家/あいち産業振興機構登録専門家/名古屋産業振興公社登録専門家
    • (Publisher:TRILOGYFORCE.COM)

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