下請企業は常に親事業者である元請企業の意向に従わざるを得ない状況下に置かれている。
そんな弱者である下請企業にとって少々朗報となるような法の見直しが進んでいる。

皆さん、こんにちは。
業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。
政府は下請け取引環境の改善に向け、年内を目途に『下請代金支払遅延等防止法(下請法)』の一部見直しを進めており、支払手形の期間短縮を促すなど、下請け業者への支払いルールを厳格化するなどの環境整備に取り組んでいます。
下請代金支払遅延等防止法(下請法)とは
下請代金支払遅延等防止法
(目的)
第一条:この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによつて、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。
これは下請取引の適正化を推進するための法律で、公正取引委員会と連携して運用しており、製造業からサービス業まで幅広い分野において適用対象となる取引を明確に示すとともに、親事業者の禁止行為なども具体的に定めているものです。
また、もし違反が認められた場合には簡易な手続で迅速に改善を求め、下請事業者を守ることができる仕組みになっています。
下請法の見直し内容
今回の見直しでは、同法で禁止する割引困難な手形に関する期間の定義が変更されます。
現在、割引困難な手形の期間を繊維業が90日、それ以外の業種は120日以内と定められていますが、これが60日に短縮され、年内にも新しい通達が出されます。
その他にも下記の事項が盛り込まれます。
1.下請け事業者に対する支払いは原則として手形ではなく現金とすることを親事業者に要請
2.手形の場合でも割引負担料を発注側である親事業者が負担するよう求める
3.不適正な原価低減要請や金型保管コストの押しつけといった違反行為の事例追加も公正取引委員会に提案
とは言え、下請企業が親事業者からの要請を断ることによってその後の取引に及ぼす影響がどれだけ改善されるのかには疑問が残ります。