ある自治体では、生徒の成績や指導記録を一元管理するためのシステムを改修費用も含めて3,500万円も投じて開発した。
しかし、実際の活用率は非常に低く、全機能を活用しているのはたったの1割で、最悪なことに4割が全くそれを使っていなかった。

皆さん、こんにちは。
業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。
冒頭でお書きした利用率の低いシステムは、ある都道府県の教育委員会が県立高校向けに開発した『校務支援システム』の話しです。
校務支援システムの機能
この『校務支援システム』は、生徒の成績や指導記録を一元管理でき、教職員の多忙解消も導入の目的となっています。
機能は大きく分けて2つあり、1つはスケジュールを共有するグループウェア機能、もう1つは生徒の成績や生徒指導要録、調査書を入力して管理する教務処理機能です。
これらの機能が備わったシステムを活用すれば随分効率化が図れるはずですが、何故か利用率が低いままのようです。
では、何故このシステムが活用されていないのでしょうか?
システムが活用されない理由
このシステムが活用されていない理由としては以下のようなものがあります。
1.すでにエクセルなどで作成した独自のシステムがある
2.導入時に情報を入力するのが面倒
3.多忙によりシステムの使い方を習熟する時間がない
これでは何のためにシステムを開発したのかわからないような理由ばかりです。
民間企業に置き換えた場合
例えば、民間企業においてA部署とB部署、もしくはX拠点とY拠点で使っているシステムが異なっているようなことがあった場合、会社としては統一したシステムにおいてデータ分析などを行いたいと考えます。
そういった場合、現場にはどのような機能が欲しいかなどのヒアリングを行うなど、基本的にはシステムを統一する方向で話しは進みます。
そして、新システムが導入された場合、どの部署、どの拠点も必ずそれを活用することが義務化されます。
ある意味、ここはトップダウンで進まなければ仕方がない部分でもあるでしょう。
新システムの導入において現場が一時的に苦労するのは避けて通れない道でもあります。
ましてや、既存システムがバラバラであった場合においては負担は増加します。
しかし、それを乗り切ればより良い状態が生まれるのであればそれは義務として行うべきで、トップは是が非でもそれを行わせなければなりません。
つまり、それらを経て新システムを活用するということは必須事項であるということです。
新システムの導入は、投じたコストが捨て銭にならないように活用してください。