平成29年7月18日
公正取引委員会は、タカタ株式会社(以下「タカタ」という。)に対し調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、下請法第7条第2項の規定に基づき、同社に対し勧告を行った。
皆さん、こんにちは。
業務改善を行うIT・業務コンサルタント、高橋です。
エアバッグの欠陥問題で経営破綻し、民事再生手続き中のタカタが、下請け業者に支払う代金を総額2億4976万円不当に減額したとして、公正取引委員会は18日、下請法(下請け代金の減額の禁止)違反で同社に対し再発防止を勧告しました。
今日は、この下請法に関する話しなのですが、まずはタカタの概要から見ていきましょう。
タカタの違反事実の概要
シートベルト、エアバッグ等の部品等の製造を委託している資本金3億円以下の事業者に対して、以下のような不当な下請代金の減額がありました。
1.コストダウン要請を行い、下請代金から差し引いた。
2.単価の引下げ改定を行ったが、単価の引下げ合意日前に発注した部品等についても遡及して適用し、差額を下請代金から差し引いた。
3.原材料の下落に伴って引き下げた単価を過去に発注し納品された分まで遡及して適用し、差額を下請代金から差し引いた。
以上が公正取引委員会に勧告された違反事実の概要です。
これに対しタカタは、『違反の認識はなかった』という見解を述べたようですが、誰が見ても当り前に違法な行為です。
下請法とは
下請法(下請代金支払遅延等防止法)では、下請取引の公正化、下請事業者の利益保護を目的として、以下のように定義されています。
<親事業者と下請事業者の定義>
1.物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合
親事業者が資本金3億円超:下請事業者は資本金3億円以下(個人を含む)
親事業者が資本金1千万円超3億円以下:下請事業者は資本金1千万円以下(個人を含む)
2.情報成果物作成・役務提供委託を行う場合(1の情報成果物・役務提供委託を除く。)
親事業者が資本金5千万円超:下請事業者は資本金5千万円以下(個人を含む)
親事業者が資本金1千万円超3億円以下:下請事業者は資本金1千万円以下(個人を含む)
上記の定義のもと、親事業者には以下のように義務と禁止事項が定められています。
<親事業者の義務・禁止事項等>
〇 義務
ア 書面の交付義務
イ 書類の作成・保存義務
ウ 下請代金の支払期日を定める義務
エ 遅延利息の支払義務
〇 禁止事項
ア 受領拒否の禁止
イ 下請代金の支払遅延の禁止
ウ 下請代金の減額の禁止
エ 返品の禁止
オ 買いたたきの禁止
カ 購入・利用強制の禁止
キ 報復措置の禁止
ク 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
ケ 割引困難な手形の交付の禁止
コ 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
サ 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
以上のように定められています。
ご参考までに。