平成28年度の税制改正により、『電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則』の一部が改正され、スキャナ保存の要件のうち一部が改正されました。
皆さん、こんにちは。
業務改善を行う業務コンサルタント、高橋です。
2005年に改正された電子帳簿保存法では、国税関係帳簿書類を一定の要件の下でスキャナを使用して保存することが認められるようになっていたわけですが、要件のハードルが高いことからごく一部の企業でしか採用されませんでした。
しかし2016年、今年の1月1日からはその要件が緩和され、より多くの企業にて文書の電子化が普及していくことが期待されます。
2005年改正時のスキャナ保存
2005年改正時のスキャナ保存においては、以下のような要件が求められていました。
1.契約書・領収書のうち、3万円以上のものは紙による保存が必要
2.スキャンしたデータにタイムスタンプを付する必要
3.一定の解像度によるカラースキャンが必要
4.その他、原稿台と一体となったスキャナ使用の必要性など
2016年改正の要件緩和
前述したとおり、2005年当時の改正では要件のハードルが高かったため、2016年からは以下のように緩和されました。
1.契約書・領収書等の国税関係帳簿書類について金額要件が撤廃され、すべてがスキャナ保存対象
2.国税関係帳簿書類に係る『電子的記録等による保存制度の承認』が不要
3.スキャンしたデータへの電子署名が不要(タイムスタンプは必要)
4.見積書などの一般書類は大きさ情報の保存が不要になり、グレースケールでの読み取りも認める
ただし、スキャナ保存の要件が緩和される一方で、国税の納税義務の適正な履行を確保する観点から、『適正事務処理要件』を満たす必要があるとされています。
追加された適正事務処理要件
『適正事務処理要件』とは、企業における内部統制を担保するための『相互牽制』、『定期的なチェック』、『再発防止策』、この3つ事項が社内規定等において整備され、かつ社内規定に基づいて適切に実施されていることが条件となります。
以上のようにはなりましたが、スキャナは原稿台と一体であるものに限定されていることや、適用開始前3ヶ月までに申請をしなければいけないことなどに変更はありませんのでご注意を。